Lilith.
⌕
編集イラスト: Anthropic、トークン支出の中身を企業に可視化。同じレポートから上限の引き上げも可能に
Lilithのイラスト · 編集リミックス

Anthropicは10月28日、Claude Enterprise向けにsmart reports、アプリ内アンケート、チーム共有予算の3機能を一般提供した。AIへの支出が想定より速く膨らんでいる企業は、これでお金の行き先を確かめられる。

Claudeがチームの会話サンプルを読み、仕事ごとのコストを示す

管理者がチーム、期間、対象製品を選ぶと、Claudeがチームの会話記録のサンプルを分析し、作業をワークストリームに分類する。それぞれについて支出、成果物、よくあるつまずき(connectorの不足やツール呼び出しの失敗など)を表示する。レポートの最後には推奨事項が並び、繰り返し使う手順のうちどれをskillsにし、どんなルールをコードリポジトリに追加すべきかを示す。

アンケートはClaudeの回答の後に短いカードとして表示される。標準の質問は、Claudeで成し遂げた最も価値のある仕事、短縮できた時間、明日アクセスを失ったら最初に何が止まるかを尋ねる。共有予算はグループに月単位の共通枠を与える。個人の上限は引き続き安全装置として働く。請求権限を持つ管理者には、予算の50 %、75 %、95 %、100 %に達した時点でメールが届く。

Anthropicは、レポートが個人の業績評価や人事判断のためのものではないと明記している。提供状況は構成によって異なり、HIPAA向け設定や顧客管理の暗号鍵を使う組織などでは条件が変わる。

CFOは、AI支出がなぜ10倍に増えたのかを問い始めた

TechCrunchは今回の発表を、Anthropicが計画するIPOを前にした動きと位置づける。その前日、開発チーム向けツールを手がけるJellyfishが、顧客27万6,000人分のエージェント型コーディングツールの利用データを公表した。それによると、Anthropicのモデルを使うツールが提案されたコード変更の3分の1近くを占める。こうしたツールへの支出は年初から10倍に増え、現在はエンジニアリング総コストの約2 %に相当する。「2 %はまだ小さいと言っても、この10倍の伸びはほとんどのCFOが計画していなかったものだ」とJellyfishのチーフサイエンティスト、Nicholas Arcolano氏はTechCrunchに語った。

AIはもはや予算の片隅にある試験的な項目ではない。レポートは管理者に支出を正当化する材料と、さらに成果を引き出すための手引きを与える。TechCrunchはこれを、AI企業が顧客の社内に送り込むコンサルタント、forward-deployed engineersの簡易版になぞらえている。

AIの請求書を点検するのは、それを発行した側

レポートが価値を算出する材料は、Anthropicがすでに持っているデータと、Claudeがなければ何が止まるかを尋ねるアンケートだ。こうした質問が測るのは満足度と依存度であり、利益の増加や納期の短縮は読み取れない。しかも同じレポートの画面から、請求権限を持つ管理者は誰かの足かせになっている上限をすぐに引き上げられる。

推奨事項には副作用もある。手順をskillsに変え、リポジトリにルールを足すたびに、チームはClaudeに深く結びつく。JellyfishのNikolas Albarran氏はTechCrunchに対し、各ツールはagent.mdファイルの扱いなど細かな癖が違うため、乗り換えにはコストがかかると話した。微妙な問題もある。レポートは業務上の会話を読むことで作られる。人を評価するためには使わないという約束は利用ルールであり、技術的な歯止めについて発表は説明していない。

レポートの後に上限が上がるか下がるかが試金石になる

最良のテストは、企業がレポートを見て何をするかだ。上限引き上げの申請ばかりが増えるなら、Anthropicは巧みな販売チャネルを作ったことになる。成果のない作業に気づいて支出を減らすチームが出てくるなら、このツールは顧客の役にも立っている。

もう一つの指標は投資家向けの数字だ。TechCrunchによれば、Anthropicは第2四半期に営業黒字を計上し、net revenue retentionは900 %、つまり同じ顧客の支出が1年で9倍になった。この勢いが続くかどうかは、smart reportsを手にしたCFOたちの判断にも左右される。

Lilithの判定

Anthropicは自前の電卓を経理部に持ち込み、表示画面のすぐ横に上限引き上げボタンを付けた。最初のレポートを見て支出を削るCFOが現れたとき、その電卓に引き算ができるかどうかが分かる。